【完】キミさえいれば、なにもいらない。
急に力が抜けたかのように、その場で雪菜の机に突っ伏す俺。


たぶん、俺の顔は今、ケチャップ並みに真っ赤なんじゃないかと思う。


「えっ、な、なに。どうしたの?」


雪菜が少し驚いた様子で聞いてくる。


「だって今……雪菜が笑ってくれたから」


正直に答えたら、雪菜はまた戸惑ったような声をあげた。


「えぇっ?」


不思議だよな。こんな些細なことが嬉しくてたまらないなんて。


思ってた以上に、俺は重症なのかもしれない。


「俺、ケチャップついててよかった」


思わずボソッとそんなことを口にする。


「な、何言ってるのっ……」


そしたら雪菜はますます戸惑っていたけれど、俺はもうこの気持ちがバレバレでも別にいいと思った。


もしかしたら今の笑顔は、雪菜が前よりも俺に心を開いてくれるようになったって証拠なんじゃないかって。


そう思ったら、すごく嬉しくて。


少しだけ期待してしまった。


このままもっと、距離が近づくんじゃないかって。


いつか、彼女の特別になれるんじゃないかって。


.


*


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