【完】キミさえいれば、なにもいらない。
「もしかして、雪菜も彼方くんのこと気になり始めちゃった?」


「まさか!別に気になってないよっ!」


璃子に思いがけないことを聞かれて、慌てて否定する私。


「え~、そんなこと言ってさぁ、実は雪菜もまんざらでもないんじゃないの?あんなイケメンに言い寄られたら、ちょっとは心揺らいじゃうでしょ~」


「そ、そんなことないって!それに、べつに言い寄られてるわけじゃないからっ」


「そう?私は求愛されてるようにしか見えないんだけど」


「……」


璃子はどうしても、一ノ瀬くんが私を好きだって言いたいみたい。


だけど私は絶対、彼が私なんかに本気になるとは思えない。


だって、あのチャラくてモテモテで女の子に困ってなさそうな彼が、よりによって私みたいな地味なタイプを好きになるなんて。そんなのどう考えてもありえないよ。


たくさんいるお気に入りの女の子のうちの一人、みたいな感じなんじゃないのかな。


「き、きっと、いろんな子に声かけてるんだよ」


「そうかな~?」


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