【完】キミさえいれば、なにもいらない。

顔はイケメンだし、口が上手いからモテているみたいだけど、男としては結構最低だ。


こんな兄の姿を長い間ずっと見てきた私は、恋愛にすっかり夢を見れなくなってしまっていた。


もちろん、すべての男子がお兄ちゃんみたいな女好きだとは思ってないけど。


ちなみに兄の名前は遥で、名前の通り女の子みたいな中性的な顔をしている。


明るいパーマのかかった茶髪に両耳にはいくつものピアス、身長は180近くあって、スタイルもいい。


歳は一個上の高校三年生で、同じ高校に通ってるんだけど、受験生だっていうのに、毎日こんな感じ。


いつになったら女遊びをやめて真面目に勉強するんだろうなんて思ってる。


「ふぅ……」


とりあえずリビングに入り、ソファーに腰を下ろす私。


本当なら二階の自分の部屋で宿題をしたいところだけど、バッタリお兄ちゃんの連れてきた女の子と鉢合わせしても気まずいので、やめておいた。


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