【完】キミさえいれば、なにもいらない。
結局私、こういうの、頼まれたら貸しちゃうんだよね。
「はい、これ。五時間目までに返してくれたら」
そしたら彼は、大げさに喜んでくれた。
「サンキュ。すっげー助かる!授業終わったらすぐ返すな」
「うん」
「お礼の手紙も添えて」
「て、手紙はもう書かなくていいからっ!」
「はははっ。冗談だよ」
イタズラっぽく笑う一ノ瀬くんを見て、ふと考える。
私ったら、彼のこと振ったはずなのに、こんなふうに普通に話してていいのかな。
だけど、避けるのもなんだかおかしい気がするし、私だってべつに、彼のことが嫌いなわけではないんだ。
人としては好きだし、異性として好きっていうのとは違うだけで。
だから、普段どおり接するぶんには、構わないよね。
.
*
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「はい、これ。五時間目までに返してくれたら」
そしたら彼は、大げさに喜んでくれた。
「サンキュ。すっげー助かる!授業終わったらすぐ返すな」
「うん」
「お礼の手紙も添えて」
「て、手紙はもう書かなくていいからっ!」
「はははっ。冗談だよ」
イタズラっぽく笑う一ノ瀬くんを見て、ふと考える。
私ったら、彼のこと振ったはずなのに、こんなふうに普通に話してていいのかな。
だけど、避けるのもなんだかおかしい気がするし、私だってべつに、彼のことが嫌いなわけではないんだ。
人としては好きだし、異性として好きっていうのとは違うだけで。
だから、普段どおり接するぶんには、構わないよね。
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