【完】キミさえいれば、なにもいらない。
そういえば、今日は髪型を変えてみたけど、いろんな人に似合うって褒められて、嬉しかったな。


いっそのこと、これから毎日ハーフアップにしていこうかな。


このお母さんに作ってもらったバレッタも気に入ってるし。


そんなことをあれこれ考えていたら、ふと、一ノ瀬くんの顔が思い浮かぶ。


一ノ瀬くんたら、あのあと教科書を返してくれたのはいいんだけど、授業中自分も使おうと思って開いたらなんと、間に紙が挟まっていて。


そこにはデカデカと彼の字で『雪菜の髪型可愛かったよ』なんて書いてあったから、恥ずかしくなって、思わずその場で教科書をバタンと閉じたんだっけ。


手紙はもう書かなくていいって言ったのに。


って、私ったらなんでまた、一ノ瀬くんのことなんか考えてるんだろう。


と、その時、耳の辺りに髪の毛が数本束になってパラっと落ちてきたことに気が付いた。


髪型が崩れてきたのかなと思い、慌てて頭に手を当てる。


そしたらハーフアップの結び目が少し緩んでいて、バレッタも取れかけていたみたいだったので、その場で一回直すことにした。


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