【完】キミさえいれば、なにもいらない。
「そうかな」
「うん。なんか、調理実習の時いつも手際がいいしさ、そのクッキーだってすごく形綺麗だし、さすがって感じがする」
「いやいや、そんなことないよ。クッキーは簡単だから」
私が謙遜すると、璃子は自分が作ったクッキーの生地を指差しながら。
「えーっ、でも、私のなんてこれだよ?超いびつじゃない?」
言われてよくよく見てみると、確かに少しいびつではある。
でも、そんなに見た目が悪いってほどでもない。
「そんなに変わらないよ。ちゃんとできてるよ」
「全然違うよ~。やっぱり、普段から料理してるかしてないかの違いが、こういうところで出るんだよね~」
「いやいや、私もそこまで料理できるわけじゃないから!」
「できるよーっ。私なんて、カレーしか作れないんだよ!いいなぁ、料理できる女子。絶対雪菜はいい奥さんになれるよね~」