【完】キミさえいれば、なにもいらない。
ある日のこと。私が学校から帰ったら、家の中から美しいピアノの音色が聞こえてきた。
たしか、高校生活にもようやく慣れてきた、五月の終わり頃だったと思う。
誰だろうと思い、リビングに足を踏み入れると、そこにはピアノを奏でる陸斗先輩の姿があって。
私は一瞬にして目を奪われた。
ピアノを上手に弾く男の人なんて、今までテレビの中でしか見たことがなかったから。
お兄ちゃんたちが組んでいるバンドで、先輩がキーボードを担当していることは前から知っていたけれど、彼がその時弾いていた曲はたぶん、クラシックだったと思う。
陸斗先輩の奏でる音色はとても優しくて、私は曲名すらよく分からなかったけれど、すごく感動してしまった。
しばらくその場に突っ立って、静かに聴き入っていた。
彼の手の動きや表情にじっと見とれていた。
男の人を本気でカッコいいと思ったのは、たぶんこの時が初めてだった。
たしか、高校生活にもようやく慣れてきた、五月の終わり頃だったと思う。
誰だろうと思い、リビングに足を踏み入れると、そこにはピアノを奏でる陸斗先輩の姿があって。
私は一瞬にして目を奪われた。
ピアノを上手に弾く男の人なんて、今までテレビの中でしか見たことがなかったから。
お兄ちゃんたちが組んでいるバンドで、先輩がキーボードを担当していることは前から知っていたけれど、彼がその時弾いていた曲はたぶん、クラシックだったと思う。
陸斗先輩の奏でる音色はとても優しくて、私は曲名すらよく分からなかったけれど、すごく感動してしまった。
しばらくその場に突っ立って、静かに聴き入っていた。
彼の手の動きや表情にじっと見とれていた。
男の人を本気でカッコいいと思ったのは、たぶんこの時が初めてだった。