【完】キミさえいれば、なにもいらない。
「ただいまー」


家に帰り、玄関の靴を確認すると、今日は見知らぬ女物の靴が置かれていなかったので、少しホッとした。


さすがのお兄ちゃんでも、テスト期間は女の子を連れ込んだりしないのかな。真面目に勉強してるといいんだけど……。


そう思いながらカバンを持って二階にあがると、突如お兄ちゃんの部屋からギターの音色が聞こえてきて、思わず眉をひそめる。


お兄ちゃんがギターを弾いてるのはいつものことだけど、テスト期間中くらいやめてほしいなぁ。今から隣の部屋で勉強しようと思ってたのに。


そう思った私は、カバンを部屋に置くと、隣のお兄ちゃんの部屋のドアの前まで行き、コンコンとドアをノックした。


「ちょっと、お兄ちゃん!」


呼びかけるとガチャッとドアが開き、中から制服姿のままのお兄ちゃんが出てくる。


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