【完】キミさえいれば、なにもいらない。
*信じてもいいかな
期末テストが無事終わり、ホッとしたのもつかの間、そのままあっという間に夏休みに突入した。


私は読書をしたり、学校の課題をこなしたりしながら、毎日を家でゆったりと過ごす。


お兄ちゃんは出かけてばかりで基本家にいない人なので、一人の時間が一気に増えた。


だけど、元から一人でいるのが好きな自分は、特に寂しいなんて感じない。


それはたぶん、スマホに毎日メッセージが届くせいでもあるんだろうけれど……。


彼方くんとお祭りに行く約束をしたあの日、当日の待ち合わせのために彼と連絡先を交換することになり、それ以来、彼方くんからは毎日のようにメッセージが送られてくるようになった。


『今日は何してた』とか、『この本が面白かった』とか、ちょっとしたやり取りだけど、たぶん璃子以上に連絡を取っているような気がする。


なんだか友達というより、付き合っているみたいで変な感じだけど、正直なところ、まんざらでもなかった。


彼とやり取りしていると、なんだか気持ちが明るくなる。


彼方くんはとにかくお祭りをすごく楽しみにしてくれているみたいで、私もその日が近づくほどに、なんだかそわそわしていた。



< 248 / 370 >

この作品をシェア

pagetop