【完】キミさえいれば、なにもいらない。
まさかこんなタイミングでナンパされるとは思わなくてビックリする。


戸惑いながらも速攻で断りを入れる私。


「け、結構ですっ」


だけど、男は手を離してはくれなくて。


「そんなこと言わずにさぁ。何でも好きなものおごってあげるよ」


「そうそう。俺らと楽しくやろうよ~」


しつこく言い寄ってきたので、なんだか急に怖くなってきてしまった。


「い、嫌ですっ。離してください!」


必死で男の手を振り払おうとするけれど、力が強くてかなわない。


男たちは抵抗する私を見て、面白がったようにますますニヤニヤしながら言い寄ってくる。


「だーかーらー、そんな警戒すんなって」


「いいからおいで。ちょっと一緒にブラブラするだけだから」


「嫌っ……」


どうしよう。どうしてこんなにしつこいんだろう。


私は彼方くんとはぐれてしまったことに対する焦りもあって、今にも泣きだしそうな気持ちだった。


そういえば、彼方くんは今どうしてるのかな。私がいなくなったことに気が付いてるのかな。


それともまだ、友達と話してるかな?


せっかくこれから一緒にお祭りを回ろうと思ってたところだったのに……。



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