【完】キミさえいれば、なにもいらない。
その言葉に、再び心臓がドキッと跳ねる。


ウソ。今、彼女って……。


「はぁ?彼氏?」


「なんだよ、彼氏いたの?」


それを聞いて、しらけたような顔をする男たち。


「そうだよ。だから、ナンパするなら他当たってくれる?」


彼方くんが強めの口調で返すと、男たちは顔を見合わせ、チッと舌打ちをする。


「ケッ、クソガキが。勝手にやってろ」


そして、そんなふうに捨て台詞を吐くと、すぐに背を向けてその場を去っていった。


その様子を見て、胸をなでおろす私。


よかった……。


なんだか急に力が抜けてしまう。



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