【完】キミさえいれば、なにもいらない。
「あ、おはよう、璃子」
私が冷静に挨拶を返すと、璃子はそのままササっと私の机まで駆け寄ってきた。
「あ、また本読んでる~。雪菜はほんと読書家だねぇ」
「えぇっ。そんな、読書家ってほどでもないけど」
「いやー、すごいよ。毎日何か読んでるじゃん。私なんて漫画か雑誌しか読まないもん。やっぱり成績優秀な人は違うよね~」
彼女の名前は高梨(たかなし)璃子。肩までのボブが似合う元気いっぱいの明るい子。
一年生の時から二年連続同じクラスで、気が合うからいつも一緒に過ごしてる。
「そんなことないよ」
「私も雪菜を見習わなくちゃな~。だから国語苦手なのかな。あっ、それより一時間目って教室移動だっけ?理科室?」
「うん。そうだよ」
「ちょっと私、準備してくるね~!」