【完】キミさえいれば、なにもいらない。
文化祭本番を明日に控えた今日は、クラスメイトみんなで遅くまで残って、最終チェックを行った。


その後片付けをしたりあれこれ作業していたら、結局学校を出るのが完全下校時刻ギリギリに。


璃子は今日もバイトがあると言って先に帰ってしまったので、一人カバンを持って下駄箱まで急ぐ。


すると、ちょうど下駄箱に着いた時、そこに誰かが一人で立っているのが見えて。


その姿を目にした途端、心臓がドクンと飛び跳ねた。


え、ウソ……。彼方くん?


どうして彼がここに。


彼はカバンを肩にかけたまま下駄箱にもたれかかっていて、私の姿を見つけると、嬉しそうに目を輝かせながら声をかけてくる。


「よかった。雪菜、まだ帰ってなかった」


驚きのあまり、反応に困ってしまう。


もしかして、私のことを待ってたのかな?


正直今は顔を合わせたくなかったのに……。


「ちょっと雪菜に話したいことがあったから、待ってた」


そう言われて、動揺する私。


やっぱり待ってたんだ。話したいことって何だろう。


「な、なに……?」


おそるおそる問いかけると、彼方くんはいつもと変わらない笑顔で。


「明日の文化祭だけど、一緒にまわらない?」


「えっ……」



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