【完】キミさえいれば、なにもいらない。
思わず振り返ったら、彼方くんの目は少し潤んでいて、声も震えている。
どうしてそんな辛そうな顔をするんだろう。
彼の本心がわからない。
だって、私のことなんて本気じゃないんでしょ?
だったらなんで……。
「ごめん、帰るっ」
私はそんな彼を振り切り、背を向けて先を急ぐ。
ひどい態度を取っている自覚は十分にあったけれど、こうすることしかできなかった。
「雪菜っ!」
後ろで呼び止めるような彼の声が響いて、一瞬足を止める私。
すると彼は、大きな声で叫ぶように言う。
「雪菜が俺のこと嫌いになったとしても、俺は雪菜のことずっと好きだからな!」
それを聞いた瞬間、目に涙がじわじわと溢れてきた。
ねぇ、どうしてそんなこと言うの。
どうしてそんなに必死になるの。
じゃあ、あの時の言葉は何だったの?
あれが彼方くんの本性なんじゃないの……?
そのまま振り返ることなく走って昇降口を出た私は、あふれる涙を手で拭いながら急いで家に帰った。
胸の奥が、張り裂けそうなほどに痛くて、苦しくてたまらなくて。
彼方くんの傷ついたような顔が、ずっとずっと頭から離れなかった。
.
*
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どうしてそんな辛そうな顔をするんだろう。
彼の本心がわからない。
だって、私のことなんて本気じゃないんでしょ?
だったらなんで……。
「ごめん、帰るっ」
私はそんな彼を振り切り、背を向けて先を急ぐ。
ひどい態度を取っている自覚は十分にあったけれど、こうすることしかできなかった。
「雪菜っ!」
後ろで呼び止めるような彼の声が響いて、一瞬足を止める私。
すると彼は、大きな声で叫ぶように言う。
「雪菜が俺のこと嫌いになったとしても、俺は雪菜のことずっと好きだからな!」
それを聞いた瞬間、目に涙がじわじわと溢れてきた。
ねぇ、どうしてそんなこと言うの。
どうしてそんなに必死になるの。
じゃあ、あの時の言葉は何だったの?
あれが彼方くんの本性なんじゃないの……?
そのまま振り返ることなく走って昇降口を出た私は、あふれる涙を手で拭いながら急いで家に帰った。
胸の奥が、張り裂けそうなほどに痛くて、苦しくてたまらなくて。
彼方くんの傷ついたような顔が、ずっとずっと頭から離れなかった。
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