【完】キミさえいれば、なにもいらない。
そう言って、笑顔でハンカチを差し出してくる一ノ瀬くん。


わざわざ返しにきてくれたんだ。


「え、あ、どうも」


言われるがままそのハンカチを受け取る私。


すると彼は、今度は後ろのポケットに手を突っ込んで、また何かを取り出してみせる。


見るとそれは、小さなラッピング袋のようで。


「そんで、これはお詫び。ハンカチ汚しちゃったから、これももらって」


「えっ?」


ウソ。お詫びって……。


「俺が勝手に選んじゃったんだけど、新しいハンカチだから」


「えぇっ!?」


まさか、律儀にそこまでしてくれるとは思わなかったので、驚きのあまり大声が出てしまった。


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