黒犬





「怪我治ったら手合わせしよう。
俊はなかなか筋がいい。
強くなる…」








男は笑った
「ちっ」







「俺はお前の話が聞きたい…
いや話せ」





「何を…」




紗智栞と呼ばれた女が食べ終えた食器を下げる
「完食したの?
偉いね。」
また頭を撫でられた
その手は払わなかった



「お前のことだ。」



「俺のこと…」



「そうだ。」




………





「歳は。」

「13歳。」

「学校は。」

「行ってない。」

「住んでるとこは。」

「○△…」

「今のだ。」

「路地裏…」

「何故だ。」

「……」

「まあいい。」

「お前は?」

「私か?
何が聞きたい。」

「お前は何だ。」

「何って
答えるのに困る事を聞くな。
漣の長で紗智栞の夫
お前の…
飼い主だ…。」

「歳は。」

「28」

「親は。」

「殺されたよ。」

俺と…

「満足か。
何か必要なものがあれば言え。
用意できるものなら用意する」

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