黒犬
「やあ。
少年」
「総丘…」
「おいおい
呼び捨てかよ。」
「ふっ…」
「どうだ
愛兎は。」
「よくわからねえ…よ。」
「いいじゃねえか…お前…」
男はよく分からない言を残し出て行った
ん…。
外が騒がしくなった
「誰か来たね。
それも大勢。」
はっ
隣を見る
「天堂さん…」
「俺にはさんつけるんだ…」
ククッと男は笑った
「見に行こうか
面白いものが見れるよ。」
「ぁ、ああ」
抱きかかえられた
細いけど筋肉が十二分についた体
……。
自分の体を見る
……。
細いだけの体…。
「どうした。
惚れたか?」
ハハッ
また変な笑い
「そんなわけねえ…」
「だよねー
困る困る。
あ、着いたよ。」
木の陰
門の前1人立つ男と武器を持った100人以上の男たち
「あいつら…。」
走って行こうとしたが足は宙をかけた
「行くな。
見てろよ。」
1人の男
それはこの家の長
「あんなガキに勝てなきゃここの長はやってられないよ。」
後ろを見た
ふふと彼は笑った
前を向きなおしたときには立っているのは1人の方だけだった
「な。
大丈夫だろ。」
大きな男はこっちを見ていた
まっすぐな瞳
それから目を離した
「総丘も強いのか?」
「まあ、3番目かな。
愛兎,俺,和成…。
うん3番目。」
「そうか…」
「おい。」
鬼の声だ。
「安静にしてろと言った。」
「俺が連れ出した。」
「勝手なことをするな。
戻るぞ。」
俺を乱暴に担いだ男はさっき俺を抱き上げた男よりも大きかった
脇腹を突いた
「…っ
俊、お前な…」
くっ
「何笑ってんだ…」
「痛いのか。」
「痛いだろ。
撃たれたんだから。」
「俺が撃った。」
「誇らしげだな。
俺を傷つけて喜ぶなんて…
ダメな犬だな。
よく躾けないといけないな。」
どんっ
ーいってぇぇえええ
「人を傷付けて喜んでいるようじゃ人は救えねえ
力はな…
人を守るためにあるんだ。
お前は…
俺を守れ…
そのために俺より強くなれ…」
「は?」
「俺の命令は絶対だ。
お前は俺の犬だろ。」