黒犬


ーブロロロ


「あ、大変!!
早く戻ろ…
帰ってきちゃった」


また無邪気な顔をして俺の手を取り走り出した……
はやっ…


「ただいま。」


息を切らした俺とは裏腹に平気な顔で笑って鬼を迎えた彼女
なんだこの夫婦
化け物か…


男と女は先を歩く


男の匂いが少しおかしかった
タバコの匂いの中に
鉄の匂いと火薬の匂い


男をじーっと見る
「なんだ、俊。」


「何してきた。」


「何って…
お前は私を困らせる天s…「誤魔化すな。
何をしてきた。」


「言えない。
言わない。」


「お前人殺してk「言うな。」


口を塞がれた
後ろを見ると天堂さんが立っていた


「それは誰も聞かない。
聞いてはいけない。
ここでの暗黙の了解だ。」


「ああえっ!」


ジタバタと暴れて抜け出そうとするが敵わない
「何も言うなよ。」
耳元で囁かれなんども頷くと離された
「あいつは長だ…
思っているよりもなんでもしてる。」
真面目な天堂さんの顔
初めて見る顔


男女は部屋へ続く廊下を曲がった
「行こっか。
ご飯の時間だ。」


何事もなかったように歩き出した彼を追いかけ先を歩いた
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