黒犬
唐揚げと
少し…
すこし…
固いご飯
「飯…
固いな。」
鬼が言った
「それに細かい。」
チッ。
「俺は固いほうが好きだけど…」
俺の頭を撫で黙々と食べ続ける鬼
炊いた自分でも全然進まない箸
不味い…
誰も何も言わずに食べ続ける
鬼も,紗智栞さんも,天堂さん,総丘さんだって…
「無理して食べなくていいっ……」
立ち上がって叫んでた
「何がだ?」
鬼はまっすぐな目で言った
「美味しくないだろ…「うめえよ。
俊それ食わねえのか?」
俺の茶碗に残った大盛りの飯
「食わねえならくれ…
腹減ってるんだ。」
返事を聞かずに俺の茶碗の飯を食べきった男は手を合わせて部屋を出て行った
「犬、風呂入るぞ。」
腕を持たれ引きずられる
石の風呂
家にこんな風呂あるのなんて初めて見る
ガシガシと体を洗われ湯船に浸かる
ふぁぁあああ
鬼があくびをした
「なんだ俊…」
彼は目を細めて俺を見た
「なんでもねえよ」
顔を背けた
ふっ
って笑い声が背後でした
「俊平、私は明日から3週間家を空ける。
紗智栞を頼む。」
耳のすぐ側で声がした
「ぁあ。」
そう返事をしていた