黒犬



〜〜〜



いつものように門をくぐって車が車庫へ向か…
停まった……
横を見る



「愛兎さん?!」



顔が青白い
頬を叩く



反応はない

呼吸が浅い



彼を背負う



「紗智栞さんっ天堂さんっ総丘さんっっ」



大声を出し屋敷内を走る
「どした?」
「どうしたの?」
「んー?」
彼女は出て来た瞬間俺たちの姿を見て皆同じ顔をした
「こっち…。」
紗智栞さんは部屋へ案内した
「俺は叶呼ぶ。」
総丘さんはあの医者を呼ぶらしい
「……。」
天堂さんは……
固まっていた。



俺は案内されるまま屋敷の奥へ進んだ
布団の上に男を寝かす


男は薄ら目を開いた


そして笑った















〜〜〜










医者が来た。

「血、止まんねえな。」

頭をボリボリかきながら傷を見る

「手術しねえと死ぬぞ…。」

真面目な口調
桜色は何も言わない
「お前はここにいたいんだろうが
ここにいたら死ぬ。
ほら原一とかいうやつに任せて入院しねえか?」
「……。」
静かに首を横に振った
「手術してください!!」
頭を下げる
薄い茶色の瞳が弱く睨みつける
「ただもう一つ問題があってな…
それはさっきのこいつがここを離れられないくだらない理由とは全く違う…
どうしょうもない事実だこいつの血液型…
輸血パックがねえ。
作っておくよう言ったがこいつは来なかった
「一つもないんですか?」
俺は闇医者だ
珍しい血液まで入って来ねえ。
これ以上出血したら危険なんだ…。」

部屋が静まり返った

「何型なんですか。」

俺は意外と冷静だった

「Rh-のAB型だ。」







アールエイチマイナスnoエービーカ"タ







「俺も…それです。」

「マジか、少年。


よし行くぞ。
付いて来てくれ。」








「…原一……」

力をなくした鬼が天堂さんを呼んだ





「漣頼む…
すぐ帰ってくるから……」
笑って目を閉じた






〜〜〜
< 34 / 65 >

この作品をシェア

pagetop