黒犬


「いいじゃないか。」


そう言って笑った彼にくっついた
「つかれたか。
よし、帰ろう。」
湊さんの家から車が出る
漣までは20分かかるかかからないかくらいだった


俺はうとうとしていた


〜〜〜


布団へ運ばれたのは何度目だろうか
目を開ければ寝室の天井だった


〜〜〜


スーツができたのはちょうど3週間後だった
それを試着して見る


「似合うな。」


着替えていくと紗智栞さんと愛兎さんにまじまじと見られた
スーツなんて着たことないから緊張する


「あと、これも着てみろ。」


畳まれたもの


「いらないって…「着て欲しいんだ。」


奥の部屋へ押し込められスーツを脱がされる
やはり慣れた手つきで紺色のそれを着せられまた紗智栞さんの前へたった


「あらいいじゃない。
着物似合うわね。」


「今度写真でも撮ろうか。」


嬉しそうに笑った男に俺と紗智栞さんは目を合わせて
「しょーがないなー」
とはなった


また服を脱がされ風呂へ入って布団に入った


「明日早速スーツ使うぞ。」


その言葉の意味すること、
仕事!
やったーーー
「寝ろ。」
また優しい手が瞼の上に乗る



これ…
安心する。



意識をそっと手放した

早朝

似合わないスーツを着た愛兎さんが部屋にいた
「起きろ。
出るぞ。」
さっと起きてスーツに身を包む
手招きされてそちらへいくとネクタイを締められた

髪もいじられる

「今日もそれは外すなよ。」

銀色のタグ
男の首にもかかっている

一つ頷く

「行こう。」
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