黒犬



「でも風邪。。っ」



「…お願いね。」

ぱたん


扉が閉まった
「ダメ?」
彼女がこちらを見る
短く息を吐いて布団をめくった
わーいと少し笑って彼女が布団に入る


「中谷も一緒に寝よ?」


布団から出ようとすると彼女が俺の浴衣を引っ張った
「いえ
美麗ちゃんが一人で使ってください。」




「ダメ!
一緒に寝るの!

あったかくして寝なきゃ良くならないよ!」




むっと怒りながら彼女は俺の寝巻きの裾をさらに強く引っ張った
「分かりました。
では一緒に寝かせていただきます。」



布団に入り直す
美麗ちゃんが愛兎さんによく似た色素の薄い瞳でこちらをじっと見つめていた



「中谷。
汗すごいね。」



枕元にあるタオルで彼女は俺の汗を拭った
「苦しい?」



「いいえ。」



「痛い?」



「いいえ。」



「辛い?」



「大丈夫ですよ。
さあ眠りましょうか。」



彼女を布団に寝かせ直し数回体を撫ぜた







すーすー。


数秒後には彼女は寝息を立てた。

温かい。


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