3月生まれの恋人〜first christmas〜
興奮する子供たちをそれぞれの親が捕まえて
そのとんでもない劇はそのまま中途半端に幕を下ろした
『スミマセンでした・・・』
クリスマス会が終わり子ども達が帰った後
あたしと山下先生は大騒ぎの弁明に園長室へと呼ばれた
園長曰わく、過去に類を見ない出来事だったらしく、あたしは山下先生と二人、ひたすら平身低頭で謝った
そもそもの原因は、美優ちゃんの突然の暴走がきっかけだったのだと、美優ちゃんのご両親も謝りに来て下さり
あたしと山下先生は、園長からのお小言のみで、夕方なんとか解放された
はあっと、ようやく肩から力が抜ける・・・
明日からはもう冬休み
あたしたち保母も休みに入るため、いつもより時間をかけて教室を掃除し、保母室の自分のデスクを整理する
ふっと時計を見ると、いつの間にかもう7時
外はもう真っ暗・・・
『ゆづ先生、悪いけどそろそろ帰るわね
来年もよろしくね』
自分の子どもを保育園に預けて働く山下先生は、遅くなってしまったと慌てて教室を出て行った
『あたしも帰るかな』
暗い廊下を歩いて、更衣室のロッカーからコートと荷物を取り出し、玄関へ向かう
『寒っ・・・』
玄関を出ると想像以上に寒くて、あたしは首をすくめて外へと歩き出した