冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない
「それで城にいい男はいたかい?」
包んでもらった薬草を受け取ると、ディルクはからかう調子で聞いてきた。
「はい。素敵な男性に出会いましたよ」
素直なライラの返事が意外だったのか、ディルクは一瞬、意表を突かれた顔になる。そして今にもライラの両肩を掴みそうな勢いで続けた。
「なら、さっさと結婚してもらえ。お前さん、もういい年だろ?」
切羽詰まった言い方にライラはきょとんとした面持ちになる。ライラとの温度差を感じ、ディルクは乱暴に頭を掻いた。
「ライラの左目は不自由かもしれないが、それを差し引いてもお前さんはいい子だよ。グナーデンハオスが悪いところとは言わないが、今まで苦労してきたのを考えると、やっぱり誰かと結婚して幸せになって欲しいんだ」
親子よりさらに年は離れているが、ディルクとしてはライラに対して不憫な気持ちもあり、ついお節介をやいてしまう。
同情されるのは、あまり気持ちのいいものではないが、ストレートなディルクの感情と物言いがライラは嫌いではなかった。
ライラの左目は今も昔も髪で覆われ、病で不自由になったと通している。嘘をつき通す罪悪感もあり、ライラはディルクから視線をはずして小声で返した。
「ありがとう。でも……」
ライラは言葉を迷う。もちろん今の自分の状況を話すわけにはいかない。とはいえこれ以上、ディルクに偽りを述べるのは嫌だった。
意を決しライラは顔を上げ、ディルクに笑顔を向ける。
「まだ探しているんです。特別な……私の運命の人を」
ライラの言い分にディルクは軽くため息をつき、それでも笑ってみせた。
「そうかい。なら早く見つかるのを祈ってるよ。絶対に幸せになりな」
ライラは目を伏せて応えた。それからディルクはセシリアにライラを頼むとこれまた父親気取りで挨拶し、おまけの薬草も渡してきた。
包んでもらった薬草を受け取ると、ディルクはからかう調子で聞いてきた。
「はい。素敵な男性に出会いましたよ」
素直なライラの返事が意外だったのか、ディルクは一瞬、意表を突かれた顔になる。そして今にもライラの両肩を掴みそうな勢いで続けた。
「なら、さっさと結婚してもらえ。お前さん、もういい年だろ?」
切羽詰まった言い方にライラはきょとんとした面持ちになる。ライラとの温度差を感じ、ディルクは乱暴に頭を掻いた。
「ライラの左目は不自由かもしれないが、それを差し引いてもお前さんはいい子だよ。グナーデンハオスが悪いところとは言わないが、今まで苦労してきたのを考えると、やっぱり誰かと結婚して幸せになって欲しいんだ」
親子よりさらに年は離れているが、ディルクとしてはライラに対して不憫な気持ちもあり、ついお節介をやいてしまう。
同情されるのは、あまり気持ちのいいものではないが、ストレートなディルクの感情と物言いがライラは嫌いではなかった。
ライラの左目は今も昔も髪で覆われ、病で不自由になったと通している。嘘をつき通す罪悪感もあり、ライラはディルクから視線をはずして小声で返した。
「ありがとう。でも……」
ライラは言葉を迷う。もちろん今の自分の状況を話すわけにはいかない。とはいえこれ以上、ディルクに偽りを述べるのは嫌だった。
意を決しライラは顔を上げ、ディルクに笑顔を向ける。
「まだ探しているんです。特別な……私の運命の人を」
ライラの言い分にディルクは軽くため息をつき、それでも笑ってみせた。
「そうかい。なら早く見つかるのを祈ってるよ。絶対に幸せになりな」
ライラは目を伏せて応えた。それからディルクはセシリアにライラを頼むとこれまた父親気取りで挨拶し、おまけの薬草も渡してきた。