冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない
「もう少し後から来た方がよかったですか?」

「いや、絶妙のタイミングだったよ。なかなか面白い話が聞けた。そっちはどうだい? ライラはお目当てのものは手に入れられたかな?」

 ルディガーに尋ねられ、ライラは精一杯の感謝を伝える。

「はい。今日はありがとうございました」

 自然と紙袋を持つ手に力が入った。そこにセシリアが口を挟む。

「ちなみに彼女たちから聞いた面白い話とはどういうものですか?」

「それは、あとでふたりきりになったらゆっくり話そう」

「いちいちそういう言い方はやめません?」

「エルンスト元帥」

 セシリアがため息混じりに返したとき、この場にいる誰でもない女性の声が割って入った。色香漂う大人の女性が妖艶な笑みを浮かべている。

 ライラが今までにあまり出会った経験のないタイプだ。ミルクティーを連想する柔らかくて細いふわふわの髪は腰まであり、体のラインがくっきりと出るワンピースはどちらかといえばドレスに近い。

 胸元と肩が大胆に開いていて、控えめなローズピンクの生地が彼女の肌にはよく似合っている。

「やぁ、ジュディス。久しぶりだね」

 ルディガーが卒なく対応すると、ジュディスと呼ばれた女がゆるやかに口を開いた。化粧をしっかり施し、口に引かれた紅の色が彼女の唇の動きを際立たせる。

「最近、全然寄ってくれないから。今日はプライベート?」

「さぁ、どうだろう?」

 そこでジュディスの目がセシリアとライラに向けられた。視線が交わり、ライラはドキッとしたが、すぐにジュディスはルディガーに向き直った。
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