冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない
「やだ! スヴェンなんて嫌い。大っ嫌い!」
まるで子どもの言い草。しかし思った以上にスヴェンはライラの言葉に動揺した。沈黙が二人を包む。
ライラは大きく肩を揺らすと、自分の手をそっと口元に持っていった。
「なにも、こんな手の込んだからかい方をしなくても……」
「そのつもりはない」
ひとり言で呟いた結論は瞬時に否定される。ライラはおずおずと首を動かしてスヴェンを仰ぎ見た。
「なら、なんで?」
「言っただろ、したくなったんだ」
答えになっていない気がして、さらに尋ねようとした。けれどそれはスヴェンがライラを抱きしめたことで阻まれる。
ずるい。いつも人の気持ちをかき乱してばかりで、スヴェンはなにも教えてくれない。
けれど聞く勇気もない。その答えを聞いたところで自分たちの関係は所詮、かりそめのものだ。
逞しい腕が回され、厚い胸板にもたれかかっていると体格差もよくわかる。こうしているとスヴェンはやっぱり大人の男で変に意識すると、心臓が再び暴れ出しそうだった。
ライラはわざとらしく違う話題を振ってみる。
「これ、エルンスト元帥やセシリアさんにも振る舞ってもいいかな?」
「なんだ? 俺で試したのか?」
その反応にライラは顔を上げて抗議した。
「違うよ。スヴェンに一番に飲んでほしかったの!」
思わず至近距離で視線が交わり、ライラはとっさにスヴェンの胸に顔をうずめる。
まるで子どもの言い草。しかし思った以上にスヴェンはライラの言葉に動揺した。沈黙が二人を包む。
ライラは大きく肩を揺らすと、自分の手をそっと口元に持っていった。
「なにも、こんな手の込んだからかい方をしなくても……」
「そのつもりはない」
ひとり言で呟いた結論は瞬時に否定される。ライラはおずおずと首を動かしてスヴェンを仰ぎ見た。
「なら、なんで?」
「言っただろ、したくなったんだ」
答えになっていない気がして、さらに尋ねようとした。けれどそれはスヴェンがライラを抱きしめたことで阻まれる。
ずるい。いつも人の気持ちをかき乱してばかりで、スヴェンはなにも教えてくれない。
けれど聞く勇気もない。その答えを聞いたところで自分たちの関係は所詮、かりそめのものだ。
逞しい腕が回され、厚い胸板にもたれかかっていると体格差もよくわかる。こうしているとスヴェンはやっぱり大人の男で変に意識すると、心臓が再び暴れ出しそうだった。
ライラはわざとらしく違う話題を振ってみる。
「これ、エルンスト元帥やセシリアさんにも振る舞ってもいいかな?」
「なんだ? 俺で試したのか?」
その反応にライラは顔を上げて抗議した。
「違うよ。スヴェンに一番に飲んでほしかったの!」
思わず至近距離で視線が交わり、ライラはとっさにスヴェンの胸に顔をうずめる。