冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない
「なるほど。愛しの奥さんに、自分は他の男と共に夜を過ごすから別の女に会ってくればいい……なんて言われたお前には多少同情してやるが、そこはしょうがないだろ」
ルディガーが哀れみを含んだ目を向けて乱暴に総括したので、スヴェンは思わず眉間の皺を深くする。
躊躇いながらも、昨晩のライラとのやりとりをルディガーに語っていた。懺悔にも似た告白。珍しくスヴェンにとってもひとりで抱え込むには、持て余す状況だった。
そして、どこまで本気で言っているのか計り知れないルディガーの言葉を受け、スヴェンはぶっきらぼうに返す。
「わかってる。あいつはなにも間違っていない。勝手にこちらの感情をぶつけて傷つけたんだ」
初めて見たライラの泣き顔にスヴェンは動揺が隠せなかった。はっきりと脳裏に焼きついて、頭から離れない。
異なる色の瞳をこれでもかというくらい大きく見開いて、目尻から玉のような涙がぼろぼろと零れ落ちていった。すぐに隠すようにうつむいたのは見られたくなかったからだ。
『私、ね。こんな目だから泣いたらいつも以上に珍しがられたり、からかわれたりしたの。瞳と同じように涙の色も左右で違うんじゃないかって。だから泣くのが怖かった。我慢してた』
なのに泣かせた。自分があんな顔をさせた。
自己嫌悪で腸が煮えくり返りそうになる。気の利いた言葉ひとつかけてやれない。なにをすれば、どう言えば彼女は泣き止んだのか。泣かせずにすんだのか。
ただライラが泣き疲れて眠るまでずっと抱きしめていただけだった。
「お前のために彼女は必死なんだよ」
ルディガーがライラの気持ちを汲んで弁護するが、スヴェンの顔は険しいままだ。
ルディガーが哀れみを含んだ目を向けて乱暴に総括したので、スヴェンは思わず眉間の皺を深くする。
躊躇いながらも、昨晩のライラとのやりとりをルディガーに語っていた。懺悔にも似た告白。珍しくスヴェンにとってもひとりで抱え込むには、持て余す状況だった。
そして、どこまで本気で言っているのか計り知れないルディガーの言葉を受け、スヴェンはぶっきらぼうに返す。
「わかってる。あいつはなにも間違っていない。勝手にこちらの感情をぶつけて傷つけたんだ」
初めて見たライラの泣き顔にスヴェンは動揺が隠せなかった。はっきりと脳裏に焼きついて、頭から離れない。
異なる色の瞳をこれでもかというくらい大きく見開いて、目尻から玉のような涙がぼろぼろと零れ落ちていった。すぐに隠すようにうつむいたのは見られたくなかったからだ。
『私、ね。こんな目だから泣いたらいつも以上に珍しがられたり、からかわれたりしたの。瞳と同じように涙の色も左右で違うんじゃないかって。だから泣くのが怖かった。我慢してた』
なのに泣かせた。自分があんな顔をさせた。
自己嫌悪で腸が煮えくり返りそうになる。気の利いた言葉ひとつかけてやれない。なにをすれば、どう言えば彼女は泣き止んだのか。泣かせずにすんだのか。
ただライラが泣き疲れて眠るまでずっと抱きしめていただけだった。
「お前のために彼女は必死なんだよ」
ルディガーがライラの気持ちを汲んで弁護するが、スヴェンの顔は険しいままだ。