冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない
客間の方に戻り、マーシャがお茶の準備を始める一方で、ライラは薬草をひとつずつ確認していく。
そのとき部屋にノック音が響いたのでそれぞれ手を止め、マーシャが返事をしてドアに近づいた。しばしそこで押し問答を繰り返す気配があり、ややあって若い男が部屋の中に足を踏み入れてきた。
ライラにとって初めて見る人物だったので思わず身構える。男はその不安を吹き飛ばすかのように上品に笑った。
「初めまして、突然の訪問をお許しください。僕はスヴェンの母方の従兄にあたります、ユルゲン・フルヒトザームという者です。スヴェンが結婚したという話を聞いたので、どうしても一言ご挨拶したくて」
流麗な喋り方と優しげな笑顔でユルゲンは説明した。スヴェンの従兄という言葉でライラは少しだけ警戒を解く。
スヴェンよりも背は低く華奢ではあるが、雰囲気的に上流階級の気品さが滲み出ていてあまり気にならない。身に纏っている青緑色のジュストコールも上質なものだ。
清澄なグレーの瞳に、癖のあるブロンドの髪がユルゲンの儚げな印象にさらに拍車をかける。
部屋に入っては来ないが、ドアのところで彼の付き人らしき高齢の男性がこちらを窺っていた。嘘はないと判断し、戸惑いながらもライラは自分も名乗る。
「初めまして、ライラと申します」
ユルゲンは興味深そうにライラに視線を注いだ。
「それにしても、驚きました。急な話でしたし、スヴェンが結婚だなんて。どういった経緯で彼と? ライラさんはどちらの家のご出身かな?」
「私は……」
矢継ぎ早の質問に苦慮していると、ユルゲンの目がある一点に留まったのでライラは彼に注意を向けた。
そのとき部屋にノック音が響いたのでそれぞれ手を止め、マーシャが返事をしてドアに近づいた。しばしそこで押し問答を繰り返す気配があり、ややあって若い男が部屋の中に足を踏み入れてきた。
ライラにとって初めて見る人物だったので思わず身構える。男はその不安を吹き飛ばすかのように上品に笑った。
「初めまして、突然の訪問をお許しください。僕はスヴェンの母方の従兄にあたります、ユルゲン・フルヒトザームという者です。スヴェンが結婚したという話を聞いたので、どうしても一言ご挨拶したくて」
流麗な喋り方と優しげな笑顔でユルゲンは説明した。スヴェンの従兄という言葉でライラは少しだけ警戒を解く。
スヴェンよりも背は低く華奢ではあるが、雰囲気的に上流階級の気品さが滲み出ていてあまり気にならない。身に纏っている青緑色のジュストコールも上質なものだ。
清澄なグレーの瞳に、癖のあるブロンドの髪がユルゲンの儚げな印象にさらに拍車をかける。
部屋に入っては来ないが、ドアのところで彼の付き人らしき高齢の男性がこちらを窺っていた。嘘はないと判断し、戸惑いながらもライラは自分も名乗る。
「初めまして、ライラと申します」
ユルゲンは興味深そうにライラに視線を注いだ。
「それにしても、驚きました。急な話でしたし、スヴェンが結婚だなんて。どういった経緯で彼と? ライラさんはどちらの家のご出身かな?」
「私は……」
矢継ぎ早の質問に苦慮していると、ユルゲンの目がある一点に留まったのでライラは彼に注意を向けた。