この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。
そのふたりの間に挟まれた私はといえば、そのあたりに転がっている普通の女子高生。
特別なものはなにひとつ持っていない。

そんな私が、幼なじみだというだけでふたりと一緒に登校しているのを快く思っていない人はたくさんいる。


「さて、朝練行くか。朝の練習メニュー、なんだっけ?」
「えっと……。筋トレだね」


私がカバンからメニュー表を取り出して告げると、俊介の眉がへの字に曲がる。


「マジか。午後練マラソンなのに?」


たしかにつらい練習ばかりだが、そうは言ってもあっさりやってのけるに違いない。

そういうところがカッコいい。


「俺、もう少し足に筋肉つけないとなぁ」


稔がつぶやくものの、鍛えられた彼らの太ももはもうすでにカチカチだ。


「またあの子。身の程知らずよね。あのふたりに釣り合うわけないのに。身を引きなさいよ。ずうずうしい」


そのとき……私のことを中傷しているとわかる女子生徒の声が聞こえてきた。
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