この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。
「里穂。困ったことがあれば俺か俊介に言って。俺たちのせいで里穂が傷つくのは腹が立つから。でも、一緒に登校できなくなるのもイヤだな」


そして、稔のいたわりの言葉にうなずいた。

私だって、ふたりとの時間が楽しくてたまらないのに、手放したくなんてない。

ふたりの優しさに感謝して、私は笑顔を作った。



部活を終えて帰宅の時間。私たちはいつも通り、自宅の最寄り駅から三人で肩を並べて歩いていた。


「今日はさすがにヤバい。足がプルプル震えててる。明日、筋肉痛かも」


かなりきつめの練習メニューをこなした俊介が、太ももをパンパンと叩きながらつぶやく。


「俺、長距離のタイム振るわなかったな」


そうつぶやく稔は、たしかにいつもより三分くらい遅かった。


「朝の筋トレがひびいてるんだって。全滅だったじゃん」


先輩たちも軒並み遅れてきたので俊介はそんなふうに励ますものの、彼はいつも通りのタイムで戻ってきたのがあっぱれだ。
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