この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。
好き、だから。
世界中の誰より、俊介のことが好き。

小さな頃からいつも一緒で、陸上に真摯に打ち込む姿や、なにかをやり遂げる意志の強さにいつも感心していた。

こうして私をからかっては遊ぶけど、今朝も嫌味な女子から守ってくれたように、本当は優しいことも知っている。


幼稚園の頃、虫垂炎で母が入院してしまい、夜にひとりで寝るのが怖くてたまらなかったときは、俊介が我が家に来て『僕がいるよ』と手を握って一緒に寝てくれた。

私は今でもあの手の温もりを覚えている。


さらには小学生の頃、私が運動会の徒競走で転んだときは、自分が走る前にも係わらず駆け寄ってきてゴールまで一緒に走ったこともあった。

そのあと、自分もぶっちぎりで一位を取るというかっこよさ。

私はそんな彼の優しさに包まれながら育ってきた。


「『ダメ』って言わなかった? 都合のいいところだけ聞かないでよ!」
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