この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。
「里穂? どうかした?」
「ううん、なんでもない。いただきます」



このシュークリームは上品にフォークで食べるのではなく、手で直接つかんで食べるのがミソ。

クリームがたっぷりなので流れるように出てきてしまう。


「相変わらず豪快にいくな。いい食べっぷり」


クリームがこぼれてしまわないように大きな口でパクパクと食べていると、そう突っ込まれ動きが止まる。

好きな人の前なのに、はしたなかった?


「あれ、どうかした?」
「……ううん」


シュークリームをお皿に戻すと、彼の手が伸びてきて私の口元に触れるので、驚いてのけ反る。


「クリームついてる」
「あっ」


彼に触れられたことは何度だってあるのに、鼓動が速まり落ち着きがなくなる。


でも、顔にクリームをつけているなんて、やっぱり女の子としては失格なのかも。

そんなことを考えて落ち込んだ。
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