この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。
これじゃあ、女の子として意識してもらえる日が来そうにないもの。


「続き、食えば? クリーム垂れるぞ」
「うん……」
「もしかして『豪快』なんて言ったから、気にしてる?」


彼は私の心を読むのがうまくて、時々困る。
なにも言い返せずにうつむいた。


「褒め言葉なんだけどな」
「褒め言葉?」
「そ。里穂がうまそうに食ってるところ、結構好きだから」


『好き』という単語が飛び出し、いっそう心臓が暴れだす。

食べている姿がであって、“私が”ではないのに。


「で、でも……。男子って、もっと女の子らしい感じが好きでしょ?」

「男子でくくるな。たしかにそういうヤツは多いけど俺は違うし、俺は好きな女がタイプだから」


俊介がまばたきをすることもなく私を見つめながらそんな告白をするので、息がうまく吸えなくなる。
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