この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。

発覚

そんなことがあってから一週間。

あれからも俊介の家に宿題をやりに行ったりはしたけれど、恋愛の話にはならなくてホッとしていた。

ただ、今まで以上に彼のことが気になるようになっているのは自覚している。

だって、あんな誤解するようなことを言うんだもん。



その日の放課後の練習は再び長距離走で、同じ一年生で一緒にマネージャーをしている川島多香美(かわしまたかみ)と一緒に、五キロの練習を終えた選手に飲み物を手渡しつつ、ねぎらって歩いた。


「お疲れさまです。いつもよりタイム速かったですね。さすがです」


先輩に声をかけると「サンキュ」と笑顔を見せてくれる。

私たちは選手のモチベーションを上げるのも仕事。


俊介は快調にマラソンをこなし、長距離の選手に混ざって先頭集団で練習を終えた。


「俊介、お疲れ。頑張ったね」


力を出し切り座り込んでいた彼にスポーツ飲料を手渡すと、すぐに喉にごくごくと送っている。
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