この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。
「神様が『飛ばしすぎだ。ちょっと休め』って言ってるんだ。里穂がそんな沈んだ顔してたら、稔はゆっくり休めないだろ?」


私を諭すように話す俊介は、頬を緩めてみせる。


「そう、だよね……」
「おぉ」


俊介は私の頭に手を置き、「よしよし」と言いながらうなずく。


「子供扱いはやめてよ」


口を尖らせ怒ったフリをすると、彼はクスッと笑う。


「小さいから仕方ない」
「中身は俊介より大人だもんね」
「どうだか?」


おそらく、ちっとも大人なんかじゃない。

親友が倒れてこれほど動揺している私は、俊介みたいに冷静にはなれないもの。


それから俊介と一緒に家に向かった。

玄関の前で別れようとすると、彼が私をじっと見つめているのに気がついた。


「どうかした?」
「里穂。不安なことは全部俺に話せ。必ず守ってやるから」
「えっ……」


心臓がドクンと跳ねる。

どうしたの、いきなり? 
いつもはそんなことを言う人じゃないでしょ?
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