この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。
「よかった……」


あの顔色の悪さにおびえていたけれど、大事には至っていないみたい。


【そっか。ゆっくりしろよ。学校帰りに家寄るわ。見舞い、なにがいい?】


すぐに俊介のメッセージが入る。


【そうだなぁ。かわいい女の子】

「なに言ってるのよ……。元気じゃない」


稔の返事に向かってぶつくさつぶやく。


【じゃ、まあ里穂でいいか】
「は?」
【私でいいって、失礼でしょ!】


反論すると、【かわいいって言ってんじゃん】と俊介。


【思ってないくせして!】


『妥協して』という言葉が見え隠れしてるでしょう? 
そのくらいわかるんだから。


【メッセージでまでケンカするなよ。世話が焼けるな】


すると稔の呆れたひと言。


【すみません……】
【謝るなら許してやる】


素直に謝ったのに、俊介の余計なひと言に、どうしたって口が尖る。

私は稔に謝ったんだから!
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