この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。
【稔。休んでいる間のノートは私に任せて。俊介のじゃ、字が汚くて読めないもんね】


そのメッセージを読んだ俊介が、怒りの表情を浮かべて私をにらむ。

だけど次の瞬間、口元を緩めてうなずいた。

私たちが沈んでいる場合じゃない。全力で稔をサポートする。
そう心に誓った。



翌日。私たちは放課後の部活をパスして、大学病院へと向かった。

病院までは電車を乗り継いで四十五分。
少し遠いけれど、稔に会えるならなんていうことはない。


おばさんからはなんの連絡もない。

もしかしたら家のほうに……と思い母に連絡をしてみたものの、やっぱり連絡はないみたい。

たぶん、それどころではないんだろう。


初めて訪れた大学病院は十五階建ての大きな建物が丸ごと入院病棟らしい。

その受付で稔の病室を尋ねたものの……。


「糸井さんは八階にいらっしゃいますが、面会謝絶になってますね。せっかく来ていただきましたが、お見舞いはご遠慮いただいております」
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