この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。
「詳しくはまだこれからだけど……。MRIの結果では、あまり思わしくない」
「思わしくないって?」


大きな声が出てしまい、ハッと口を押さえる。


「脳幹という一番大切な部分に腫瘍があるらしくて、手術で取り除くことはできないらしいんだ」


それを聞いた瞬間、たちまち鼓動が速まり思考が止まる。

すると、私の手を握り続ける俊介の手に力がこもった。


「腫瘍って、がんってことですよね。抗がん剤ですか?」


俊介が冷静に問いかける。


「いや。もし先生が予測している病名通りなら、抗がん剤は効かないんだそうだ。唯一残されているのは放射線治療だけど……それも一時的な改善しか望めないと」
「そんな……」


今まで冷静を装っていた俊介ですら、声が微かに震えている。

『一時的』ということは……。それから稔はどうなっちゃうの? 

こんなに大きな病院で診てもらったのに、なんとかならないの?
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