この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。
もう、すごく冷たいんだから!

たしかに身長が百五十五センチしかない私は、ふたりの周りをうろちょろしている小学生みたいなのは認める。

だからこそ“大人”の三つ編みにチャレンジしたのに、解いたのは俊介でしょ? 

まあ、ちっとも雑誌通りにはならなかったんだけど。

ふたりと釣り合うくらいにはなりたいのに。


「あぁ、かわいい女の子発見。ごめん、里穂は真ん中ね」


一方稔は、私に話を合わせてくれて、手を引きふたりの間に入れてくれる。


「稔は優しいねー」


俊介にこれみよがしに告げると、彼はプイッと顔を背けて再び歩きだす。

なによ!

俊介はいつもこう。
でも、荷物が重いときにさりげなく手を貸してくれたり、部活のあと、なぜか私がヘトヘトでふたりの歩くスピードについていけないときに、時々立ち止まって待ってくれるのは俊介のほうだ。


「そういえば稔。昨日転んだところ、大丈夫だった?」
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