この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。

おばさんがたしなめたけれど、稔の気持ちが痛いほどわかるので責めたりできない。

きっと俊介も同じように思っているはず。


「そうだな。ごめん。だけど、俺たちだってお前の痛みを背負いたいぞ。ずっと一緒に頑張ってきたじゃないか」


俊介がそう伝えると、稔の目から涙があふれだす。

そしてそのあと、険しい表情になり……。


「走れるヤツの余裕のコメントか。お前の顔なんて二度と見たくない。出ていけ」


歯を食いしばり声を絞り出す彼に、なにも言えない。

彼が苦楽を共にしてきた俊介にこんなことを言うなんて、ありえない。
それくらい混乱しているんだ。


「わかった。今日は帰る」


俊介はこれ以上稔を興奮させたくないのか、素直に引き下がり病室を出ていく。

だけど私は動けなかった。
こんな稔を置いていけるわけがない。


「稔。今はつらいよね。私にはなんでも言って。できることはする。だって稔のマネージャーなんだもん」
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