臥薪嘗胆の主



日向に頭を撫でられるのがすきだった。





父さんが、生きていた頃のようで。








「お前は俺が、助けてやる。」






いつも日向が言ってくれていた。







今日も僕はその意味を理解せずに頷いていた。










「日向、僕、帰る。」






もう1週間も帰ってない。









「どこへ?」







そう聞かれてやっと気づいた。








“僕の帰る場所”








そんなものもうないんだって。









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