臥薪嘗胆の主




「言ったでしょ、“僕の責任”だと。僕は正しい事をしたけれど、下等は所詮下等。ゴキブリのように湧いてくる。」





冷たく笑った夜さんはもう、以前とは別人のようで。








「…もう戻れないところまで来てしまったんだよ。」








“惆悵”




夜さんがそう呼ぶと、龍神が現れた。












“仰せのままに”







夜さんを後ろから優しく包んで、龍神は飛んだ。









「僕は臥薪嘗胆の主。…ただの復讐に飲み込まれた可哀想な人間だよ。」








自嘲したように笑った夜さんは目を閉じた。










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