臥薪嘗胆の主




“主……様……主……さ…ま…主…様…”





頭の中を、悲しげな声がぐるぐると。







“目覚めてください…主様。”






目を開けると、俺の前にはあの女の人がいた。










「…お前は、誰なんだ…」







そう聞くと、薄い唇が動いた。










“私はあなたに仕えるもの。…さあ、名前を呼んで……”









名前……?







そんなの、俺は…










「緋雨……」








知らぬうちに、俺は名前を呼んでいた。








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