臥薪嘗胆の主



no side




「…っ、は、…はぁ…はぁ、」





路地裏。






ビルにもたれかかりながら、男は歩いていた。








「やっぱ離れてて、よかった。」








そう呟いた男は、上を向き笑った。








“どうして…”






どこからか聞こえる声は、男を心配したように呟いた。








「知ってしまったから…。」







男は、掴めない雲を手中におさめるかのように手をとじた。










「…もう、僕のような欠陥品はいらないんだ。」








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