臥薪嘗胆の主
「…何かあったらすぐ呼んでね?私達は誰かしらいるから。」
そう言って鈴音さんたちは部屋を出ていった。
「……」
あの夢は、なんだったんだろう。
…最近、緋雨喋らないな。
「…失礼します。」
ノックの後に入ってきたのは、鈴音さんと行った時の事件の女の子だった。
「莉音ちゃん…だっけ。どうしたの?」
この子も龍神もちで、確か鈴音さんの紅月と深い関係のある龍神。
「…あの、楼さ…っ」
下を向いていた莉音ちゃんが顔を上げた途端、顔が真っ青になった。
「あ……あ、………ろ、さ…ん………」
酷く震えだし、腰を抜かした莉音ちゃんに近づき手を差し伸べるとその手は払われた。