臥薪嘗胆の主



『主様も気づいていますか?日向のこと…』




…気づいていた。






日向と過した少しの時間で、不可解な点がいくつかあったから。







「…龍神でしょ、日向。」






惆悵に出会った後、聞いた。







龍神は人間を救済する為に憑き、力を貸すと。








『私は…邪悪な日向を除けました。』







それから聞いた、真実。








日向は本当は僕に憑こうとしていたけど、先に憑いた惆悵が、邪悪と感じた日向を僕の身体から除けたらしい。








「でもね…惆悵、僕、おかしいのかもしれないけど…」









…日向は少し、親のように思えてしまっていたんだ。








< 197 / 225 >

この作品をシェア

pagetop