臥薪嘗胆の主
『主様も気づいていますか?日向のこと…』
…気づいていた。
日向と過した少しの時間で、不可解な点がいくつかあったから。
「…龍神でしょ、日向。」
惆悵に出会った後、聞いた。
龍神は人間を救済する為に憑き、力を貸すと。
『私は…邪悪な日向を除けました。』
それから聞いた、真実。
日向は本当は僕に憑こうとしていたけど、先に憑いた惆悵が、邪悪と感じた日向を僕の身体から除けたらしい。
「でもね…惆悵、僕、おかしいのかもしれないけど…」
…日向は少し、親のように思えてしまっていたんだ。