臥薪嘗胆の主



「帰ってきてくれたの?」





何も知らないから…蘭は真っ直ぐな瞳で聞いてくる。







「…ううん。今日は仕事できたんだよ。」





そう伝えると蘭は少し泣きそうな顔になった。








「そ…か。…実はね、楼にぃと仲良かった遊佐にぃもいなくなったから…寂しくて。ほんと、ごめんね…」








遊佐が、いなくなった…?








「あ、蘭っ!」








涙を隠す為か蘭は部屋の方へ走っていった。









「どういうことだ…?」








遊佐は…俺の友達だった同い年の子。









…俺を“バケモノ”と呼んだ子。









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