臥薪嘗胆の主




「…っ、紅つ…」





…違う。…人…?







「……」









白髪の男は、ただ私の目を見つめるだけ。










そして私を引きあげて抱きしめた。












「な…っ」








男の手は何故か震えていた。











「死ぬのは勝手。…けど僕は、目の前で死ぬ人を見殺しにはしない。」









じゃあ、場所を変えて…











「僕のところに来てよ。」









それは遠回しな“死ぬな”という意味だった。








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