臥薪嘗胆の主
「…ただいま。」
もう夜中、でもみんな起きて待ってた。
「社長、どこに行ってたんですか?」
稜真さんがそう聞くと、夜さんは“散歩”と答え社長室へ入っていった。
その時の俺は…おかしい事に気づいていた。
「…夜さんの髪って、地毛ですよね?」
前にも稜真さんに聞いたけど。
「それなら前にも言ったはずだけど…地毛らしいぞ?」
でも夜さんの髪、上の方…というより左側の上の方だけ黒かった。
「…どうかした?」
紫水さんは心配そうに俺の顔をのぞき込んだ。
…みんなは気づいてないのかな?