たった7日間で恋人になる方法
…タカギ?…高木…あれ…もしかして、あの駅のホームでの…

『…ねぇ萌、もしかして、あの駅のホームで告られたって相手って…』
『あ!思い出した!!いがぐり君だ!!』

美園と共に、一気に思い出すと同時に声に出すと、目の前の二人が顔を見合わせて笑い出す。

あれは、確か高校2年の春頃。

ちょうど恋愛ゲームアプリに嵌りだした時のことで、すっかり忘れてたけど、確かに桜舞い散る駅のホームで、同じ学校の制服を着た野球少年らしき男子に、突然告白されたことがあった。

でも、記憶にある彼は、背もこんなに高くなく中学生みたいな幼い顔で、いかにも野球をやっていそうな坊主頭の上に、声だってもっと甲高かった気がする。

少なくとも、目の前の男性と同一人物とは、到底思えなかった。

『いがぐりかぁ…確かに、あん時の俺はそうだった』
『ゴメン…すっかり忘れてたかも』
『そういえば萌、そん時生まれて初めて告られて、驚きのあまり返事もせずに、ダッシュで逃げてきたって、言ってなかったっけ?』
『う…覚えてない…』

正直、告られたことは思い出したけど、彼が何と言って、自分が何て答えたのかなんて、覚えているはずもなかった。

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